外壁リフォームのページでも書きましたが、やはり、圧倒的に多い外壁工事は、塗替えになるかと思います。
なぜなら、戸建て住宅で一番多く見受けられるものが、サイディングに塗装してある外壁ですからね。
こういった塗装の外壁は、永久的に持つとは言えず、
新築時から10〜15年、長くて20年経過したら塗り替えするのが望ましいです。
いつまでも放っておくと塗装の摩耗が進み劣化が早まりますから、これによって、
雨水を含んで壁がもろくなったり、 ジョイント(つなぎ目)の防水材(コーキング)が劣化して、
室内に水が侵入する可能性もあるからなんですね。
また、外壁だけでなく、
屋根がカラーベストやセメント瓦でしたら塗り替えした方がいいですね。
新品に葺き替えするよりも、かなり費用が抑えられるからです。
家を長持ちさせる、あるいは資産価値を維持する上で、やはり塗り替えは必要なリフォームと言えます。
ただ上から塗ればいいっていうもんじゃなく、ちゃんとした工程を踏むことによって、外壁の保全になるのですね。
その、ちゃんとした工程というのは以下の通りです。
これら、すべての工程をしっかり行うことが最適な工事となるのです。
順番に見ていきましょう。
長持ちの程度を左右する肝心な部分になりますから、下地処置はとても重要です。
壁や屋根の一部が浮いている、あるいは穴があいてたりしたら、
セメントフィーラーなどの補修材で埋めるとか、
部分的に新品の材料に取り替えるなどしないといけません。
また、サイディングの継ぎ目のコーキングは、
屋根など雨除けのある部位ではそれほど劣化してないと思いますが、
雨風にさらされた箇所においては、ひび割れていたりとか縮んでたりするので、
既存のコーキングを撤去して新しく打設しないといけません。
そして、清掃後にしっかりとプライマー(接着材)を塗り、新しくコーキングを打ちます。
「どうせ上から塗れば隠れるんだし適当にやっちゃえ」そんなふうに手抜きをすれば、
後々不具合が生じる可能性が高いです。
鉄の柱に吹付け塗装がしてあり、しっかりと塗装がくっついていれば上から塗っても大丈夫かと思いますが、
この場合は、ところどころ脆い部分や塗料の剥落があり、酸化(錆び)しやすい鉄だという事を考慮して、
塗装を全部剥離して無垢の状態にしたものです。
この上からさび止塗装、中塗り、上塗りと行えば長持ち度は全然違うのです。
これも欠かせない大事な作業になります。
この作業をとばしたり適当にやって手抜きをすると、後々どういうことになるか大体想像できますね。
ひどい場合は、すぐに剥がれてきたり、下から汚れが浮き出てきたりします。
実際に私も、お客様から相談を受けてお伺いした時に、
汚れごと塗装がごっそり剥がれているのを目撃したことがあります。
下の写真も水洗いする前と水洗いした後の写真なんですが、
それほど汚れが付いてなくても、ざばっと洗ってから塗りたいですよね。
女性のお化粧と同じです。
さっぱりと綺麗な素肌にしてからの方が化粧のりも断然いいでしょうから。
あとは、ガラス・サッシュなどをビニールで被う養生作業を行いまして、
ここから塗りの作業になるのですが、基本的には、既存の素材に適した塗料を選定し、
下塗り(シーラー)、中塗り、仕上げ塗り(上塗り)の最低3度塗り、
(場合によっては4度塗り)をすれば良い仕上がりになり、長持ちもします。
ところが、最低3度塗りが必要なところ、下塗りをとばし、外壁の素地にそぐわない
余り物の塗料をうすめ液でしゃばしゃばにした状態で塗るなど、横着をする業者もいるのです。
もちろん、メーカー推奨の塗料を使い、
きっちりした工程を行う真面目な職人さんが大半だと思いますが、
お客さんが見ていないところで手を抜く職人も残念ながらいるのですね。
また、お客さんは知らないだろうと高をくくって、長持ちしない安い塗料を使う業者もいますから、
ごまかされない為に、「塗料の種類・品質」について知っておいてください。
お客さんの中には、「ペンキは、ホームセンターで売っている物も含めて、
皆同じようなものじゃないの。」と言われる方がいらっしゃいますが、値段も品質も様々です。
断熱・遮熱塗料や、植物など自然素材を原料にしたエコロジー塗料など、
メーカーは様々な商品をだしていますので、プロでも知らない、見たことないような商品もゴロゴロあるわけです。
一般的に屋根や外壁に使用される塗料の種類として、大まかに以下のものがあります。
ホームセンターなどで売っている物の多くがアクリルです。
ウレタン、シリコンはアクリルに比べて品質、耐久性も値段も高くなります。
フッ素樹脂はさらに高品質、高耐久性で値段も上をいきます。
これらの塗料は、水系(水性)と弱溶剤系のものがあり、
また、一液性と主剤硬化剤を混ぜて使う二液性のものがあって、
周辺の環境を考慮し、用途や素地に合わせて選定するのですね。
一般の家屋に使用されるのは、アクリル、ウレタン、シリコンが多いです。
ただ、アクリルの場合は、耐久性という面では、ウレタンやシリコンに引けをとります。
その分、値段も安いですが。
塗り替えをしたにもかかわらず、ものの数年で擦れてきたというケースは、
アクリル塗料を使用し、しかも正しい工程を踏まずに行った可能性があります。
最近では、インターネットで検索すれば、各塗料の価格や耐久性、
用途や適用下地についても調べることができますから、お客さんにとっては、大変便利になりました。
こうした背景もあり、まじめに取り組んでいる業者さんの中には、
見積書の項目に、使用する塗料までも書いてる人がいます。
見積もりの段階で、使用する塗料が明記されていなければ、
どんな塗料を使うのか、業者さんに聞いてみるのがいいですね。
アクリル塗料は長持ちしませんよ。
ウレタン、シリコン、是非チェックしといて下さい。
最後の7番目に縁切り(えんぎり)という項目がありますが、
これは、コロニアル(カラーベスト)の屋根においては、注意を払うべき重要な作業になります。
塗料と言えども、3回〜4回塗り重ねれば、結構な厚みになります。
膜厚が確保できれば素材の保全にもなり、一見良いように思えますが、
カラーベストの貼り合わせの継ぎ目が塗りつぶされると非常にまずいんですよ。
これは、雨水のはける道がなくなり、水が留まることになりますから、それが積み重なると屋根裏にたまるようになり、
防水シートや野地板を劣化させます。 さらに進行すれば、雨漏りを引き起こすのですね。
カラーベストは継ぎ目に隙間が確保されていることによって、
雨水が通過する構造になっているわけでして、 塗り重ねて継ぎ目の隙間が埋まってしまったら、
カッターやケレン、皮スキなどで塗料を切って隙間を作る必要があるのです。
あるいは、タスペーサーという、
隙間を確保する部材を貼り合わせの継ぎ目に仕込んでから塗り重ねるという方法もあります。
ただ、どんな場合でも縁切りの作業が必要かと言えばそうでもなく、新築から初めての塗り替えの場合は、
結構隙間が空いていて塗装を塗り重ねても水路(みずみち)を塞ぐ心配のない屋根が多いですから、
こういった場合は必要ないですが、中には新築から初めての塗替えでも、隙間がほとんどないものや、
塗替えが2回目、3回目という時には縁切り作業が重要になってきます。
しかし、雨漏りを引き起こしかねない、
そんな重要な作業にもかかわらず、意外にこの作業は重要視されていないのです。
塗装を依頼する時には、職人さんに現状を把握してもらって、
縁切りが必要かどうか確認しておいた方がいいですね。
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