これは、外壁の塗装工事の場合ですが、
どれぐらい持つの? 工事が終わった後、7、8割方のお客様に、こう聞かれます。
やっぱり、多くの方が気にされることですね。
せっかく大金をはたいたんだから、向こう10年、できれば15年は塗替えしなくてもいいかな?
口にこそされませんが、そういう気持ちが伝わってくるのです。
お客様からすれば、わずか数年でやり直しなんていうことになれば目も当てられません。
もっとも、施工後数年で塗装が剥がれてきたら、今や多くの工務店が工事保証をつけていますので、
無償でやり直しをしてくれるとは思います。
ただ、6年とか8年の期間になりますと、無償のやり直し工事が利くかどうか微妙ですね。
正直に言うと、お客様から「いつまで持つの。」と聞かれたときは、「当分の間大丈夫ですよ。」
としかお答えできないもどかしさを、私はいつも感じていたのです。
もちろん、10年やそこらは何もしなくていいような工事をして参りましたが、
確実に100%絶対です!と、お約束できるものではありません。
周りに森林が多く、コケのつきやすい環境にあるとか、海辺の潮風がまともにあたる場所にあるとか、
立地条件によって大きく左右されるからです。
そういった、予測しにくい面があるにせよ、真面目に取り組んでいる職人のだれもが、
責任をもって仕事をしていますので、何年持つとは言い切れませんが、
結果的に長持ちする良質な工事になるのです。
では、責任を持った仕事とはどういうものか、
どういうものが長持ちする工事なのかを確認していきましょう。
上の写真は、サイディングボードのつなぎ目のコーキングですね。
これが劣化して、ひび割れていたり縮んだりしていれば放って置くわけにはいきません。
傷んでいる箇所を全部撤去します。
そして、清掃後にしっかりとプライマー(接着材)を塗り、新しくコーキングを打ちます。
この上から塗装をしたり、タイルを貼ったりするんですが、「どうせ隠れるから適当にやっちゃえ」
みたいな手抜きすると、後々不具合が生じる可能性もありますから、ここはきっちり行います。
次に高圧水洗浄です。
これも手を抜けない大事な作業になります。
この作業をとばしたり適当にやって手抜きをすると、後々どういうことになるか大体想像できますね。
ひどい場合は、すぐに剥がれてきたり、下から汚れが浮き出てきたりします。
実際に私も、お客様から相談を受けてお伺いした時に目撃したことがあります。
下の写真も水洗いする前と水洗いした後の写真なんですが、
それほど汚れが付いてなくても、やっぱ気分的にもさっぱりしてから塗りたいですよね。
女性のお化粧と同じです。さっぱりと綺麗な素肌にしてからの方が化粧のりも断然いいでしょうから。
次は、鉄の柱に吹付け塗装がしてある例です。比較的しっかりと塗装がくっついていたので、
水洗いをして上から塗ろうと思ったのですが、ところどころ脆い部分や塗料の剥落があり、
酸化(錆び)しやすい鉄だという事を考慮して、既存の塗装を全部剥離して無垢の状態にしました。
塗装を全部剥がさずに上から塗れば作業自体は楽できるのですが、
全剥離で無垢にした上で、さび止塗装、上塗り2回やれば長持ち度は全然違うのです。
次に、タイル工事の場合です。
タイルの外壁の不安な要素と言えば、剥落です。
タイルの剥落は、人体に多大なダメージを及ぼす可能性が高いため、修繕は慎重かつ入念に行います。
浮いている部分をすべて取り除き、しっかり清掃した後、プライマーを塗布します。
接着性の高いモルタルで不陸を平滑にするべく下地調整をします。
その後にタイルを貼るわけですが、
重要なポイントは、しっかり清掃した後のプライマー塗布です。
これをちゃんとやっておかないと後々、タイルの剥落につながる可能性があります。
上のように、見えない部分の下地処置をしっかりとやった上で、素材と相性のいい適切な材料を使用して、
適正な方法で適正な工事手順を踏めば、品質の高い工事になりますから長持ちリフォームにつながるわけです。
しかし、これなら他の業者さんもやっていることでしょうからから、
私がわざわざ「長持ちリフォーム」なんて、偉そうに言う必要もありません。
もうひと手間かけて長持ちさせます。
有害物質の毒性を軽減し、更に酸化を防ぐ作用のある魔法の粉
なんか怪しく感じますか?
でも、私は大真面目なので、もう少しだけお付き合い下さい。
2005年のことなのですが、外壁塗装工事を間近に控えたお宅のご主人から電話がありまして、
「実はうちの娘、喘息の気があるのですが大丈夫でしょうか。塗料の匂いは室内まで入ってくるんですかね」。
電話で、こう告げられた私は動揺しました。
工事打合せに何回もお伺いしていまして、その話はまったく出なかったからです。
工事着工は数日後に迫っていましたので、本当に焦りました。
使用する材料は、見積り時に提示した、耐候性が高い二液型の弱溶剤系(シンナー系)塗料です。
時期は10月でしたので、冬場に比べれば塗料の乾きが早いとはいえ、
シンナー系の匂いをまったくなくすことは不可能です。
その材料を使えば、多少なりとも家の中にシンナー臭がこもることは明白であり、
娘さんの喘息が悪化することも考えられます。
なんとしてもそれを避けたい私は、間際になって使用する材料を白紙に戻し、見直すことにしました。
幸いなことに、塗料の発送(納品)はまだでしたので、急いでストップをかけ、キャンセルしてもらいました。
その後数日かけて、
耐候性が高く、人体や環境に優しい塗料を探すことになるのです。
問屋さんに聞いたり、塗料メーカーに問い合せてサンプルを複数取り寄せてみましたが、
どれもピンとくるものはありませんでした。
人体や環境には優しいが、耐候性はあまり期待できないとか、
人体や環境に優しくて耐候性にも優れているが、価格がベラボーに高いとかいうものばかりです。
取り寄せたサンプルの中には、自然素材から作られた塗料もあり、期待したのですが、
結構匂いのきついものでした。
悶々とした状態に陥った私は夜中の3時頃、インターネットで調べているうちに、
これだ!とピンとくるものが目に飛び込んできたのです。
それは、EMセラミックというものでした。
EMセラミックとは、
琉球大学名誉教授の比嘉照夫先生が農業用に開発された、
EM(Effective Microorganisms:有用微生物群)をもとに、工業用に研究・製品化されたものです。
EMやEMセラミックについての情報を集め、一心不乱に読みました。
そして、とても興味深いことを知ったのです。
EMは、次の2つの特徴を持つことが分かりました。
抗酸化力が強いということは、酸化(腐敗化)の進行を防ぐということです。
例えば、鉄が酸化するとサビが発生します。
サビが発生するとその部分が膨張して塗装が剥がれることになります。
それを防ぐということは、塗装したものを長く保つ可能性があると考えました。
また2つ目は、ホルムアルデヒドなどの有害物質をも分解・吸着し、
有害性の軽減効果があるのではないかと考えたのです。
私は、それをどうしても確かめたくて、いてもたってもいられなくなり、
EM普及協会というところに問合せをしましたところ、
偶然にもウチの近くに中部事務局があることがわかりました。
早速、中部事務局を訪ねて所長さんに話を伺ったところ、私が思った、塗装が長く持つということと、
塗料に含まれる、ホルムアルデヒドや重金属などの有害物質でもEMが分解・吸着してくれて、
有害性を軽減できることがしっかりと確認できたのです。
所長さんからは、「建築用として作られた、EMセラミックの粉末があるので、
それを使ってみて下さい。効果のあった事例も沢山寄せられていますよ」、と教えて頂き、
小躍りしたくなるような衝動を抑えながら、所長さんから紹介して頂いた販売店に飛んで行きました。
販売店の店長さんに、商品について色々教えて頂きまして、
EMの効果を再確認できたのでEM1号とEM2号という液体のものと、EMセラミックパウダーを購入しました。
最終的に、この現場で使用する塗料を、水性のセラミックシリコン塗料に決定しました。
二液型弱溶剤系の塗料に比べれば少々耐候性は劣るものの、
匂いはシンナー系の材料ほどきつくないので、人体への影響を考慮しての選択です。
そして、EM2号を水で薄めたものと、EMセラミックパウダー少量を塗料に投入して、
電動ミキサーで充分に攪拌してから塗装したのです。
その結果、
幸いなことに、娘さんの喘息の発作は施工中も施工後も発症することなく、無事に完了となったのです。
それ以来私は、めんどくさいと思いながらも、抗酸化物質を混ぜることがクセになり、
EMに限らず、麦飯石(ばくはんせき)の粉末や、トルマリン原石の粉末などを使用するなどして、
試行錯誤を繰り返し、施工させて頂いたお宅を追調査するなどして得た結果、
最も効果を感じるものが、EMスーパーセラ蘇生Cという粉末製品、EM1またはEM2という液体製品です。
それを、塗料、モルタル、プライマー、クロス糊、パテ、ボンドなど、
混入して攪拌が可能な建築材料に応じて使用しています。
これを読んでいる方の中には、
本当にそれで工事をすれば、間違いなく喘息やアレルギーは大丈夫なのか?絶対に長持ちするんだろうな!
このように思う人がいるかも知れません。
喘息やアレルギーは人によって様々です。
軽い方もいれば重症の方もいらっしゃいますので、どんな症状の方でも大丈夫ですよ、という自信はありません。
長持ちについては、住宅の立地条件や周りの環境によって劣化の進行具合が違ってきます。
比較するための事例が欲しいからといって、施工時に壁の一面を半分半分に分け、
粉末を混ぜた塗装とそうでない塗装を比べるような、そんな実験材料に利用するようなことは、
お客様に対して出来るわけがありません。
施工後の経年調査で、長持ちするという実感は得てはいますが、間違いなく絶対と言い切る自信はありません。
しかし、めんどくさかろうが、ひと手間かかろうが、お客様の健康を害したくない。
塗装を長持ちさせて、リフォームのサイクルを伸ばしたい!
この強い気持ちは、間違いなく絶対あると言い切ります。
EMなど抗酸化物質を使うきっかけとなった、この工事をさせて頂いた当時は、
シックハウス症候群が社会問題にまでなっていました。
多くの建築材料に含まれる化学物質が原因であるとされていたのです。
各材料メーカーの努力により、現在では有害な化学物質の含有量はかなり軽減されたと思います。
とはいえ、まったくゼロになったというわけではありません。
現在でも、化学物質に敏感な方や、重度の化学物質アレルギーに苦しむ方がいると聞きます。
そういった方々の苦しみを少しでも和らげることが可能であれば、
そして同時に、長持ちする工事が提供できるのであれば、
私は今後も、抗酸化物質を混ぜた材料で工事することを続けていきます。
実を言うと、今まで施工させて頂いた大半のお客様は、
私がEMセラミックの粉末を混ぜて施工していることを知りません。
あえて内緒にしてコソコソやっていたわけではなくて、
施工時に居合わせたお客様に、「何を入れてるの?」と聞かれた時は説明していましたし、
興味を示したお客様には時間を頂いて、効果とかを詳しくお話しました。
しかし、見積時や契約時、打合せの時には一切話しませんでした。
その理由は、
いいものだということが明らかでも、具体的な数字で表せないので、
しかし最近になって、もう黙ってないで堂々と話していこうと決意した出来事がありまして。
久しぶりにお伺いしたお客様のお宅で、「だいぶ前に塗ってもらったこの柱(鉄)、まだなんともないよ。
当分は塗り替えなくてもいいね」。
このように言われ、効果を実感することができてうれしい反面、
あれっ?もしかして仕事が少なくなるのでは?という不安を抱き、複雑な心境になりました(笑)
それはさておき、私が今までお客様に積極的に話して来なかったことを、
こういうインターネットのような開かれた媒体でお伝えする理由は2つあります。
ひとつは、
抗酸化物質を混ぜた施工を続けて行くための気持ちの維持です。
せっかく長年かけて試行錯誤を繰り返し、最近になってようやく効果を実感することができたのに、
尻すぼみにするわけにはいきません。
実践と検証を継続的に行っていくには、自らハッパをかけ、
インターネット上にさらして、サボることも逃げることもできないようにすれば、
モチベーションを持ち続けることができると思ったのです。
もう一つは、
一人でも多くの人に知って欲しいと言うことです。
リフォームを考えている方はもちろんのこと、同業者の方にもです。
わたしはEM普及員でもなんでもないですが、やっぱりいいものはいいです。
これを読んでいる方の中には、壁の塗替えや、クロスの張替えをしたいのはやまやまでも、
化学物質過敏症が心配で二の足を踏んでいる方がいるかも知れません。
一方、
私と同じようなことをお客さんから相談され、考え込んでいる工事屋さんもいるかも知れません。
これも何かの縁です。もし興味をもって頂いたのなら、
これを機会に、身体と環境に優しい、長持ちリフォームを頭の片隅に入れておいてください。
そして、そろそろ塗替え時期かなと思った時に、このページを思い出して頂ければいいのです。
工事はウチでなくても、知り合いの業者さんがいたら、そちらで相談されるのもいいでしょう。
「抗酸化作用のある添加剤があるらしいけど、それを材料に混ぜて使ってくれないですか」、
と言えば、業者はお客様の言うことを無視はしません。
もし、分からないことがあれば、メールフォームから連絡頂いてもいいですし、電話でもいいです。
業者さんから直接連絡頂くのもOKです。私が知っている範囲でお伝えします。
同業者で事例を共有するなどして協力関係ができれば心強いですからね。